十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第4章 4
「あ、あの…、お金、貸して貰えませんか?」
昨日初めて会ったばかりの人に、こんなことを頼むのはどうかと思うけど、 玄関ドア開けた瞬間見えた景色が、全く見覚えがなくて…
タクシーでも拾えば…と思ったけど、ニノの奢りだからと、財布を持たずに出たことを思い出した。
「別に良いけど…、もしお前さえ良ければ、近くまで送るけど?」
「で、でも…」
そこまでは流石に申し訳ないと、首を横に振った僕を他所に、潤さんは「ちょっと待ってろ」と、身支度を整え始めた…けど、これがまあ時間がめちゃくちゃかかって…
最初は玄関で待っていた僕も、いい加減待ちくたびれたってゆうか…、リビングで待たせて貰うことにした。
すると潤さんが、酵素がどうとか、美容に良いとか何とか言いながら、サーバーから注いだ水を出してくれて…
水道水とどう違うか分からない、常温に近い温度の水を飲むと、頭が少しだけスッキリして来る。
でも変だな…
翔くんとシタ時は、大抵腰が砕けそうに辛くなったり、お尻だって…痛かったりするんだけど、それが全然感じられないんだよね。
それって、潤さんがめちゃくちゃ上手いのか、それとも翔くんが下手なのか…ってこと?
勿論、翔くんとしか経験がない僕には、上手いとか下手とか、基準が分かんないんだけど。
それに、いくら酔ってたって言っても、僕が翔くん以外の人を受け入れるなんて、考えられない。