十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第4章 4
それ程弱くはないとはいえ、そんな乱暴な飲み方をすれば、酔いが急激に回るのは当然で…
そしたらさ、記憶が飛ぶ…ってこともあるわけで…
気付いたら、僕は見知らぬ部屋の見知らぬベッドで眠っていた。
しかも、隣には見知らぬ男の人が、僕のことを見下ろしていて…
「えと、あの…、ここ…は?」
…ってゆーか、誰!
「お前、覚えてないの?」
「はい、あの…」
「何も?」
「は…い…」
雅紀さんの店でラーメン食べて、それから一杯飲もうってことになって、そしたら金髪美女(?)が現れて、それから…
「ま、あれだけ飲んだんだから、無理もないか」
「すいま…せん」
全く記憶はないけど、一応謝って見るけど…
マジで、誰!
「その様子だと、俺のことも覚えてないよな?」
「はい、全く…」
なんとなーくだけど、声に聞き覚えはあるような気はするけど、こんな濃い顔の人、僕の知り合いにはいない。
「じゃあさ…」
濃い顔の男は徐にベッドから出ると、クローゼットを開け、中からゴソゴソと引っ張りだした。
「これなら覚えてんだろ」
そう言った男の手には、金髪ロングヘアのウィッグが握られていて…
「あっ…!」
それを見た瞬間、僕の僅かに残った記憶と、聞き覚えのある声とが一致して…
僕は驚きのあまり飛び起きた。