十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第4章 4
「智は彼氏とかいんの?」
突然聞かれて、僕は答えに困ってしまう。
僕はまだ翔くんが好きだし、恋人だと思ってるけど、翔くんはまだ僕のことを、ちゃんと恋人だと思ってくれてるのかな?
「智にはねぇ、顔はまあ…そこそこだけど、超堅物でクソ真面目な、超ヤキモチ焼きの彼氏がいるもんね?」
僕が答えに困っていると、ニノが横から助け舟を出してくれたけど…
ちょっと酷くない?
確かに、堅物だし、真面目だし、ヤキモチ焼きだけど、顔は超カッコ良いもん。
「ふーん、そっか残念だな」
「え?」
「もしフリーだったら、と思ってさ」
僕がフリーだったら…どうだって言うの?
「あ、でもね、今智の彼氏海外で、全然連絡取れなくなっちゃってんの」
「そ、それは、色々あったから…。それに忙しいだけかもだし…」
だってそうでしょ?
いくら色々あったからって、翔くんが何の理由もなく、突然僕との連絡を経つなんてこと、絶対ないもん。
僕は少しだけ涙が出そうになったのを、グラスに残っていたビールを飲み干すことで、なんとか誤魔化そうとした。
でもさ、一度溢れ出した感情は一杯くらいじゃ全然収まんなくって…
「え、ちょっと智、それはヤバいって…」
ニノが止めるのも構わず、僕は近くにあった焼酎のボトルを手に取り、瓶ごと一気に煽った。