十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第3章 3
食後の片付けをする母ちゃんを手伝って、お風呂まで済ませてから二階の自室へ戻った僕は、ベッドにゴロンとなった。
そして、枕元に置いてあったスマホを手に取った。
事故の衝撃で、すっかり画面がひび割れて、使えなくなってしまったスマホだ。
家に戻って来てからずっと、充電ケーブルを差し込んだまま、常にこの場所に置いてある。
実際、こんなことしたって、ちゃんと充電出来てるかも分かんないし、もし仮に出来てたとしても、電話が鳴るかどうかも分かんない。
でも、ずっと待ってるんだ、翔くんからの電話を。
勿論、待ってるだけじゃどうにもなんないってことくらいは、僕にだって分かってるけど、どうしようもないんだもん。
僕にはどうすることも出来ないんだもん。
「あーあ…、どうしてこんなことになっちゃったんだろ…」
そもそも、僕が翔くんに着いて行くなんて言わなければ、父ちゃんと悲しい別れをすることも無かっただろうし、翔くんとだって…
やっぱり、全部僕のせいだ。
母ちゃんはまた否定するだろうけど、やっぱり僕の選択が間違ってたから、だから…
僕はあの日から何度も襲ってくる、自己嫌悪という名の無限ループに引き込まれそうになって、ひび割れたスマホを定位置に戻した。
その時、契約さしたばかりの新しいスマホが、着信音と同時にブルッと震えた。