十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第3章 3
電話をかけてきたのは、確認するまでもなくニノだ。
新しいスマホの番号を知ってるのは、母ちゃんとニノくらいのもんだから、当然と言えば当然なんだけど。
「ねぇ、智今何してんの?」
「何って…、別に何もしてないけど」
「ふーん、どうせまた〝僕のせいだ〟とか言って、グジグジしてたんじゃないの?」
うっ…、しっかり見抜かれてる。
ってゆーか、いっつもタイミング良すぎなんだよね。
どこかに隠しカメラでもあるの?
本気でそう思えるくらい、ニノは絶妙なタイミングで、電話をかけてくることが多い。
そのおかげもあってか、僕も無限ループに陥らなくて済んでるんだろうけど…
「で、何か用?」
図星を突かれた僕は、何となく気まずさを感じて、わざと素っ気ない口調になってしまう。
「別に大した用でもないんだけど、久しぶりに雅紀さんとこ行かないかと思ってさ」
「今…から?」
「そ、今から」
「え、でも僕ご飯済んじゃったし…」
それに、こんな時間にラーメンなんて、ねぇ?
「いいじゃん、俺は腹減ってんだし。ね、いこ?」
「分かったよ、でも、ちょっとだけだからね」
結局、ニノに押し切られる形て出かけた僕。
この時、もしニノの誘いを断っていたら…
もしかしたら、この出会いはなかったのかもしれない。