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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第3章 3


でもさ…

どれだけ母ちゃんが、「悪いのは運転手だ」って言ったって、僕が父ちゃんに送って貰いさえしなければ、こんなことにはならなかった。


やっぱり悪いのは僕だ。

僕が翔くんに着いて行くなんて言わなければ、きっと…


僕は画面の割れたスマホを見つめながら、心の中で父ちゃんに何度も詫びた。


どれだけ謝ったって、もう届きはしないのに…




僕の怪我は、身体に感じる痛みの割には軽く、後遺症の心配も無さそうだからと、数日間の入院だけで済んだ。

病院の先生や、事情を聞きに来たお巡りさん曰く、後部座席に座っていたことと、しっかりシートベルトを締めていたことが幸いしたらしい。

「荷物こんだけ?」

僕のボストンバッグを抱え、ニノが言う。

本当は母ちゃんが来る予定だったけど、ここ数日の溜まっていた疲れがドッと出たみたいで、代わりにニノを寄越した…らしいけど、僕の予想は違う。

母ちゃんが疲れてるのは本当だろうけど、ニノは自ら志願して僕を迎えに来たんだと思う。

ニノなら考えそうなことだけど、今はちょっとだけニノに感謝したい気分でもあるのは事実で…

だって、僕の前だからって無理に笑ってるけど、母ちゃんのあんな辛そうな笑顔…僕見たくないんだもん。

「ありがと…ね、ニノ」

僕は素直に感謝の言葉を口にした。
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