十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第3章 3
ニノの口から聞かされたのは、僕が想像していたよりも、うんと辛くて…悲しくて…
よく、〝抉られるような〟とか〝締め付けられるような〟って言うけど、僕の胸は正にその状態で…
でもまだ現実とは、とても思えなくて…
ニノが帰ってからも、僕は瞬きをすることすら忘れ、ボーッと天井を見つめていた。
だってだよ?
僕にその感覚はないけど、ほんの一週間前までは元気だったじゃん?
だから、突然いなくなるなんて、そんなことあるわけないじゃん?
ニノのことだから、また僕を困らせようとしてるんだ。
きっとそうだよ。
悪い冗談…僕はそう自分に言い聞かせた。
そうでもなきゃ、今すぐにでも病院を抜け出してしまいそうだったから…
でもさ、残酷だよね…
いつもしっかり化粧してる母ちゃんが、疲労感がたっぷり浮き出た顔に、薄っすらと化粧をして、全身真っ黒な服を着て僕の前に立った時、ニノの悪い冗談だと思っていた出来事は、全て現実だったんだと…気付かされた。
「か…ちゃん…」
僕は、すっかららやつれてしまった母ちゃんに縋り、声を上げて泣いた。
「僕のせいだ…、僕があの時…」
何度も繰り返す僕に、母ちゃんは僕の頭を撫でながら、静かに首を振り続けた。
「智のせいじゃないよ。悪いのは、脇見をしていたトラックの運転手なんだから…」って。