十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第3章 3
「ねぇ、翔くんに連絡してくれる?」
きっとまだ空港で、僕のこと待ってる筈だから…
「本当はさ、自分で連絡出来れば良いんだけど、スマホ…どこいっちゃったか分かんないから…」
だから僕の代わりに…
「お願い、ニノ…」
僕は両手でニノの手を包むと、涙ながらに訴えた。
でもニノは首を横に振るだけで、一向にスマホを出す素振りもない。
「べ、別に、空港に連れてってって言ってるわけじゃないんだよ?」
多分…だけど、今の状態では飛行機に乗ることはおろか、空港に行くことだって難しいと思う。
自分の身体なんだから、それくらいのことは分かってる。
「ただ連絡してくれるだけで良いんだよ?」
ニノなら、翔くんの連絡先だって知ってるし、簡単なことでしょ?
「ねぇ、お願いだから…」
「出来ないよ…」
「どう…して…」
「もうあの人は日本にはいない」
「嘘…、だって…」
一緒に行くって…、そう言ってくれたじゃん。
「嘘じゃないし…。大体、お前何日眠ってたと思ってんの?」
「え…?」
「一週間だよ? 仕事の関係で行くってのに、んな待ってらんないでしょ…」
一週間…、ニノはそう言うけど、僕的にはまだ数時間しか経っていないような感覚で、僕はニノの言葉がにわかに信じられなかった。
だって僕の記憶では…