十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
「良い…のか?」
驚いたような、でも喜びを隠しきれない声が、僕の耳に囁きかける。
「しつこいなぁ…。大体さぁ、僕が翔くんと離れて、生きていけると思ってんの?」
「いや、それはちょっと大袈裟過ぎだろ」
そうかもしんないけど、でも実際、翔くんが時差もまるっと半日あるような国に行ってしまったら…って考えると、僕にとっては全然大袈裟な事でもない。
僕は翔くんの肩に両腕を巻き付けると、今度は僕の方が耳元に唇を寄せた。
「だから言って?」
俺に着いて来い、って。
超古臭いかもしんないし、ベタな言葉かもしんないけど、僕は翔くんに言って欲しい。
「何だかなあ、智くんには負けた…っつーかさ、やっぱ俺勝てねぇわ…」
「ねぇ、それどういう意味?」
「だから…、俺に着いて来いって言ってんの!」
ちょっぴりぶっきらぼうな口調だけど、漸く貰えた欲しかった言葉に、僕は素直に頷いた。
その時の翔くんの顔が、超笑顔になっていることは、あえて表情を見なくても分かった。
「ねぇ、翔くん?」
「うん」
「さっきはさ、その…失敗しちゃったってゆうか、何てゆうか…だけどさ、僕、やっぱり翔くんにその…」
「うん…」
本当は怖いよ、凄く怖い。
でも今ならきっと大丈夫。
「だ、だ、だ…」
「だ、…なに?」
「抱い…て…?」
それは、翔くんそうゆう関係になってから、初めて僕が口にした言葉だった。