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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第2章 2


「もう一回…言って?」

聞き取れなかったわけじゃない、寧ろハッキリ過ぎるくらい、翔くんの声が僕の耳にクリアに届いていた。

でももう一度聞きたかったんだ、翔くんの口から、もう一度…

「俺は…さ、仕事だかってのもあるけど、智くんにとっては、言葉の問題もだけど、全然生活スタイルも変わっちゃうし、寂しい寂しい思いさせちゃうかもしんないけど…」

翔くんが、いつもとは違う、ゆっくりとした口調と優しい声で、僕の耳元で言葉を紡ぎ続ける。

「それでも良かったら着いて来て欲しい」

泣きそうに嬉しかった。
翔くんが、そこまで僕のことを考えてくれているってことが、凄く嬉しかった。


でもね、翔くん?
僕が聞きたいのは、そんな言葉じゃないんだよ?


「バカ…、翔くんのバカ。どうして〝着いて来い〟って言ってくれないの?」
「それはだって…」


知ってるよ?
口では「着いて来て欲しい」なんて言ってるけど、本心では違うってことくらい、僕には分かってるんだよ?


「あのね、翔くんが僕のこと心配してくれてるのも分かるし、僕だって不安だけど、翔くんが〝来い〟って言ってくれるなら、僕は…」

そう、僕の答えなんて始めから決まってる。

翔くんが…、翔くんが望んでくれるなら、僕はどこへだって着いて行く。
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