十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第1章 1
「因みになんだけど、俺がネックレスで、智くんはブレスレットな」
「うん」
着ける場所や形が違っても、ペアであることには変わんないもんね。
「よし、そうと決まればさっさと買い物済ませちまおうぜ。俺腹減ったし」
「そうだね、僕も腹ペコだ」
本当はさ、全然腹ペコなんかじゃないけど、翔くんの気が変わっちゃったら大変だから、そこは翔くんに合わせることにした。
「あ、でもこれ加工に時間かかるみたいだから、受け取れるのは明日になりそうだけど、それでも良い?」
「そうなの?」
「うん、ここに書いてある」
翔くんが英語で書かれた貼り紙を指差すけど、英語がさっぱりな僕にはなんのことだかさっぱり分かんないや。
翌日加工の済んだブレスレットとネックレスを受け取った僕達は、早速身に着けることにした。
ちょっと太めのチェーンに、それぞれお互いの好きな色の石で飾ったイニシャルのヘッドが、眩し過ぎる程強い陽射しに照らされて、僕の手首でキラキラと光る。
勿論、翔くんの首元でもキラキラとしてたんだけど、それを見ていて気付いたんだ、どうして翔くんがネックレスを選んだのかを。
ネックレスなら、ヘッドの部分をシャツの襟で隠してしまえるから、もし一緒に着けていたとしても、他の人にはペアだって気付かれる心配がないからなんだ。
だったら僕もネックレスで良かったんだけど…って思わなくもないけど、今更どうにもなんないし、形は違ってもペアであることには変わんないんだし。
何より、翔くんからの初めてのプレゼントだしね。