十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第1章 1
「せっかくだから、何かペアのモンとか欲しいな。身に着けれるモンとか、さ…」
初めてした二人きりの旅行で、しかも僕にとっては初の海外旅行だったから、記念に…なんて思ってボソッと言ったら、翔くんがちょっとだけ困った顔してた。
「それマジで言ってんの?」って。
その時思ったんだ、翔くんはペアとか好きじゃないんだ、世間体とかけっこう気にする人だからな、って。
だから「ごめん、冗談」って言うしかないじゃん?
めちゃくちゃ寂しかったけどさ、仕方ないじゃん?
その時の僕、きっと今にも泣き出しそうな顔してたんだと思う。
翔くんが小さなため息をつきながら、目の前にぶら下がっていたブレスレットとネックレスを手に取った。
「これで良い?」って。
「え、でも翔くん嫌なんでしょ?」
嫌々僕の我儘に付き合って貰ったって、そんなの全然嬉しくないし…
「別に嫌とかじゃなくて、男同士でペアとか、ちょっと恥ずくないかなと思ってさ」
「そう? 僕は思わないけど…」
そもそも、恥ずかしいとか思うくらいなら、最初っから欲しいなんて言わないし…
「智くんは思わなくても、俺は思うの!」
「ふーん、変なの」
ペアのモン持つのが恥ずかしいと思ってるくせに、人前で手なんか繋いじゃってさ、良く分かんないや。
「で、どうすんの? 他のにする? つーか、これイニシャルのヘッド付けられるんだって」
「そうなの?」
「決まりだな、これにしようぜ」
「あ、う、う、う、うん…」
あんなに渋ってたくせに、やっぱり良く分かんないや。