十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
一度強引に堰き止めた筈の涙腺は、とうとう崩壊を初め…
翔くんが全ての説明を終える頃には、僕はもうボロボロな状態になっていた。
「顔…ブッサイクだな…」
普段ならムカッと来る言葉も、全然グサッとは刺さらない状態で…
「だ、だって…、翔くん遠くに行っちゃうじゃん…。僕、一人ぼっちになっちゃうじゃん…」
泣きながら訴える僕に、翔くんは備え付けのティッシュを、ケースごと差し出して来た。
「取り敢えず鼻かめ」って。
僕はティッシュを数枚抜き取ると、翔くんが見ている前で、豪快に鼻をかんだ。
でもさ、何回鼻かんでみたところで、流れ出る涙と鼻水だけは、どうしたって止めようがない。
分かってはいたんだよ?
翔くんの勤めてる会社は、日本国内は勿論だけど、海外にも幾つも支店を持ってるから、もしかしていつかは…って。
でもさ、こんなに突然〝その日〟が来るなんて、想像もしてなかったんだもん。
それも、ちょっと会えないどころじゃなく、何年も…ってことになったら、それこそ耐えらんないよ…
「ずっと帰って来ないの?」
「いや、本社はあくまでこっち(国内)なわけだし、用があれば帰って来るよ。それに、誰が一人にするって言った?」
「だって…」
言いかけた僕の手を、翔くんの両手がそっと包んだ。