十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
僕は俯いたまま、一つ深呼吸をすると、同じリングの嵌った翔くんの手を握った。
「もし…もしも、だよ? 僕がまた迷子になったら、翔くん、迎えに来てくれる?」
僕、方向音痴なら誰にも負けない自信あるから。
「ああ、迎えに行くよ。どこまででもね」
「寄り道…するかもよ?」
僕、こう見えて実は滅茶苦茶寂しがりで、きっと一人じゃ耐えらんないから。
「寄り道なんかさせないよ」
「ほんと…に?」
「ああ、約束する」
翔くんが、一度口に出したことは、絶対に守る人だってことは知ってる。
でもさ…
「じゃあ、翔くんが先に死んじゃったら?」
そしたら僕、一人になっちゃうんだよ?
「心配するな。幽霊になってでも、俺は智くんの傍にいるから」
「ふふ、それはちょっと嫌かも」
でも…
僕がもし同じ質問をされたとしたら、やっぱり同じように答えるんだろうな…
死んでも翔くんの傍から離れない、ってさ。
「百年先も、ずっと僕のこと、愛してくれる?」
「うーん…、それは分かんないな」
「どうして?」
「分かんないけど、俺は信じてるよ、智くんとだったら、きっと輝く未来が描ける、って」
輝く未来…か。
少し前の僕だったら、もしかしたら描けなかったかもしれないけど、今なら…
遠回りもしちゃったし、寄り道だってしちゃって、凄く時間はかかってしまったけど、今の僕達なら…