十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
「百年先も、僕のこと…」
言いかけたその時、それまで浜辺で遊んでいた三人が、こちらに向かって手を振った。
逆光で、表情はハッキリ分からないけど、凄く楽しそうに笑ってることだけは、三人のはしゃぐ声で、離れていても分かる。
「ずっとこうして笑っていようね」
時には泣いたりしなから、それでもお互いに支え合い、信じ合える仲間と一緒に、ずっと笑っていたい。
「ずっとこうして、手を繋いでいようね」
繋いだこの手を、もう二度と離れてしまわないように、しっかりと…
「百年先も、僕のこと愛してくれる?」
僕は、さっき言いかけて途中で飲み込んでしまった言葉を口にした。
すると翔くんがクスッと笑ってから、スッと立ち上がり、僕の手を引いた。
「当たり前だろ? 百年だろうが二百年だろうが、俺はずっと…」
翔くんに引っ張られる格好で立ち上がった僕のほっぺたに、翔くんの唇がそっと触れ、そのまま僕の唇へと移動する。
「愛してる」の一言と共に…
「行こうぜ」
ほんのり潮の味がする唇が離れ、翔くんが三人のいる浜辺に向かって歩き出す。
その背中は、まるでまだ見ぬ世界へと向かっているかのようで…
僕はいつもと変わらない歩幅と速度で、翔くんの背中を追った。
決して焦ることなく、自分のペースで…