十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
「なんか、僕って凄く幸せ者なんだね」
しみじみ言う僕に、普段なら〝ジジくさい〟って笑う翔くんが、小さく頷いてから身体を起こし、ごちゃっと纏めた荷物の中に手を突っ込んだ。
「もっと幸せにしてやるから、目、瞑って」って。
でもさ、昨日からビックリさせられっぱなしだったせいか、ちょっぴり疑い深くなってしまっている僕は、素直に目を閉じることが出来なくて…
翔くんが少しだけ面倒くさそうに溜息を一つ落とす。
「智くんが嫌がるようなことはしないから、目、瞑ってよ」
今度はさっきよりも少しだけ優しい口調で言われ、僕は躊躇いがちに瞼をゆっくり閉じた。
「左手、貸して?」
「う、うん…」
何されるんだろ…
まさか痛いこととか、しないよ…ね?
不安になりつつも、言われるまま左手を差し出す。
すると、、僕の手に翔くんの手が触れると同時に、指にヒンヤリとした感触がして…
そのヒンヤリの正体が分かるまで、そんなに時間はかからず、「開けて良いよ」って言われても、中々目を開けることが出来ない。
だって…
だって、目開けた瞬間、〝サプライズでした〟って言われたらどうしようとかさ、色々考えちゃったら、やっぱり怖くて開けらんないんだもん。
「どうした? 目、開けて良いんだよ?」
「う、うん…」
言われて、僕は漸くゆっくり瞼を開いた。
夢じゃありませんように!
って願いながら…