十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
「まあ…、そうなんだけど、でも…」
そう言ったきり、翔くんが黙り込んでしまうから、僕はてっきり翔くんが怒りを再燃させてしまったんだと思った。
だから、翔くんの顔を見ることなく「ごめん…」と、今日何度目かの言葉を口にした。
そしたら…
「え、うわっ…!」
突然肩を掴まれ、後ろに引き倒された。
「ちょ、ちょっと翔…くん…?」
空になっていたから良かったものの、危うくベッドにアルコールをぶち撒けるとこだった。
「あのさ、〝ごめん〟て思うならキスしてよ」
「へ…?」
「だーかーらー、言葉じゃなくて態度で示して、って言ってんの」
「何それ…、意味分かんないんだけど…?」
公園でキス強請った僕への仕返し?
だとしたら狡いよ、このタイミングで僕にキスしろなんて…
だってこの状況でキスなんてしたら、当然だけどそういう流れになるに決まってるじゃん…
なのに…
それが分かっているのに、僕はどうしても逆らうことが出来なくて…
「じゃ、じゃあさ、目、閉じてよ…」
「やだ」
「何で…?」
「だって智くんの困った顔、俺超絶好きじゃん?」
「はあ?」
何それ、意味分かんないんだけど?
だいたい、困った顔が好き…とか、性格悪すぎじゃん?
なーんてさ、心の中で文句を言いながらも、僕は翔くんに覆い被さるようにして、そっと唇を重ねた。