十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
髪が完全に乾き、漸く手にしたチューハイは、思ってた以上にぬるくなっていた。
「それさあ、ちょっと甘過ぎない?」
やっぱりビールの方が良かったのか、冷蔵庫から新しい缶を取り出し、一気飲みみたく喉に流し込む翔くん。
どうせなら僕のも冷蔵庫に入れといてくれたら良かったのに…
「そう、僕は好きだけどな」
文句の一つでも言ってやりたい気分なのに、やっぱり笑顔で答えてしまう僕は、どこまでも翔くんに弱い。
「だよね、智くんスイーツとかも好きだもんな」
「うん。辛いのも好きだけど、甘いのも好き」
でもそれって翔くんも同じじゃないの?
何だかんだ言って、甘いの好きじゃん、プリンとかさ…
ま、辛いのはそれ程得意…ってわけでもないみたいだけど。
「あー、やっぱ映画見たかったな…」
上半身裸のままの翔くんが、まるで後ろに倒れ込むかのようにしてベッドに横になる。
「くそー、二宮の奴…」
前売り券買うくらい楽しみにしてたんだから、相当悔しかったんだろうね。
僕だってニノに翔くんとの貴重な時間を邪魔された格好になったわけだし…
翔くんがニノに対して恨み言を言いたくなる気持ちは、正直分からないでもない。
「また今度行こうよ。休み教えてくれたらさ、僕、合わせるから」
正社員で働いてる翔くんより、バイトの身の僕の方が、そういった面では自由度が高い。