十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
あの頃より、ほんの少しだけ大人になった身体に唇を落としながら、肌の上を忙しなく動いていた手が翔くんのベルトにかかったその時…
「え…っ…?」
僕の視界が突然反転して、今度は僕が翔くんを見上げる格好になった。
「俺を試してるつもり? つか、俺が知らないうちに、随分大胆になったね?」
「そ、そんなことは…」
形勢逆転した状況に戸惑う僕の首筋に、翔くんの指先が触れる。
たったそれだけのことなのに、身体の奥がジンと熱くなって…
「え、マジ…で?」
翔くんの視線が、ゆっくりと僕の下腹部へと移動する。
「やだ…、見ないでよ…」
こんなの、僕だって信じられないんだから…
「そんな溜まってた…の?」
「わ、分かんないよ、そんなの…」
「いや、だってだよ? シタんでしょ、セックス…」
「う、うん…、シタよ。シタけど、でももう何年も前のことだし、それに…」
ああ…、やだな…、こんな予定無かったのに…
そもそも、何でこんなことになってんの?
…って、始めたのは僕…だよね?
「それに…、何?」
翔くんのニヤニヤ顔に見下ろされ、急に恥ずかしくなった僕は、きっと真っ赤になってるだろう顔を背けた。
「最近は自分でもシテ無かったし…」
ああ…もぉ、恥ずかしいこと言わせないでよね!