十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
「ごめん」と何度も繰り返しながら、僕の背中を撫でてくれる翔くん。
悪いのは翔くんだけじゃない。
僕だって…
確かに、僕達がこうなったのは、ちょっとしたすれ違いや誤解が原因だったのかもしれないけど、結局は僕が翔くんを信じ切れなかったからだ。
「ごめ…ん…、僕…」
涙で声を詰まらせながら謝罪の言葉を口にする僕に、翔くんが「ん?」と首を傾げる。
「寂しかったんだ。翔くんがいなくなった途端、一人ぼっちになっちゃった気がして寂しくて、だから僕…」
こんなのただの言い訳だってことは分かってる。
実際、翔くんがいなくなってからも、僕のまわりには雅紀さんやニノ、潤さんに母ちゃんだっていた。
でも誰といても、誰に抱かれていても、ずっと心の中にぽっかり空いた穴が埋まることは無かった。
当然だよね。
身体がどれだけ満たされたとしても、僕の心に空いた穴は、翔くんでしか埋められないんだもん。
それを分かっていながら僕は…
「ごめん…」
「もう謝るなって。つか…」
それまでずっと僕の背中を撫でていた手がピタリと止まり、翔くんが僕の顔を下から覗き込んだ。
「顔、ぐっちゃぐちゃだし…」
へ…?
「相変わらず泣き顔ブッサイクだな」
「だ、だって…」
言いかけた僕の顔を、翔くんの両手が包んだ。