十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
逃げてる…、そう言われればそうなのかもしれない。
僕は、翔くんだけじゃなく、自分からも逃げてる。
もう逃げないって決めたのに…
僕は握っていた拳に力を込めると、再びベッドの端に腰を下ろし、翔くんも僕の隣に腰を下ろした。
さっきまでと違うのは、僕達の間には大きな隙間があること。
物理的な距離じゃなくて、もっと…心の距離みたいな物が、僕達を遠ざけているような気がした。
「アイツ…、写真に一緒に写ってた奴、風磨って言うんだけど…」
「う…ん…」
なんだ、日本人…なのか。
金髪だったし、僕はてっきり…
「元々、親父の知り合いの息子で、あっちに留学中だったんだけど、俺が行くって知ったら会いたいって言われてさ…」
「うん…」
「それで、色々話してるとかうちに、お互いの恋人の話になってさ…」
そこまで言って、翔くんが長く息を吐き出した。
膝の上で握った手が、心なしか震えてるように見えるのは、緊張してる…からなんだろうか?
「アイツさ、ずっと付き合ってる奴がいてさ、プロポーズするんだとか言ってさ…」
「え…?」
「勿論、日本で同性婚なんて認められてないし、簡単じゃないってことも分かってるけど、どうしても式だけ挙げたいって言ってさ…」
頭が混乱してて、翔くんの話が全く頭に入って来ない。
でも一つ分かったのは…