十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
肩で息をして、鼻息まで荒くする僕に、身体を起こした翔くんが眉間に深い皺を寄せて、眉尻を下げる。
この顔をする時は、大抵困ってる時。
でも、翔くんがどれだけ困ったって、僕はもう止められなくて…
「だいたい、僕とはブレスレット一つ買うのだって渋ったくせに、ペアリングとかさ…、意味分かんないよ…」
吐き捨てるように言った僕の隣で、翔くんが息を吐き出し、一言「面倒くせぇ…」って呟く。
そうだよ、どうせ僕は面倒くさいよ。
そんなこと、前から分かってたことじゃん。
「僕、帰る…」
このままここにいたら、僕は今よりももっと翔くんを追い詰めることになる。
そうなる前に…
ベッドから降り、今にも零れ落ちそうな涙を拭いながら、部屋の入り口へと向かう。
その時…
「待てよ」
呼び止められて、僕は足を止めた。
「自分だけ言いたいこと言って逃げんのかよ」
「ぼ、僕は逃げてなんか…」
振り返った僕の視界に、これまで見た事のない翔くんの、本気で怒ってる顔が飛び込んで来た。
「だってそうだろ。さっきから言いたい放題で、人の話もきかねぇでさ…」
「だってそれは…」
聞きたくないんだもん。
翔くんの口から、僕以外の人の話なんか、聞きたくないんだもん。