十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
「僕のスマホは?」
ポケットを探るけど、僕のスマホはどこにもなくて…
ひょっとして、どっかに落として来た?
「これか?」
ちょっとだけ焦りだした僕の前に、翔くんが僕のスマホを差し出す。
「あ、うん。ありがと」
あれから随分経ってるし、潤さんから連絡があったかもしれない。
僕は受け取ったスマホを開いてみるけど、そこには何の通知もなくて…
仕事、長引い出るのかな。
ってゆうか、早く迎えに来て欲しいんだけど…
スマホを閉じ、小さな溜息を一つ落とした僕の隣に、翔くんがゴロンと横になる。
「あのさ、さっきの続きなんだけど…」
「うん…」
本当は、あんまり聞きたくないけど…
「智くんさ、絶対何か勘違いしてるっしょ」
「僕が? 何を?」
僕は何も勘違いなんてしてないつもりだけど?
「恋人が…とか言ってたけど、俺、恋人なんていねぇから…」
「そう…なんだ?」
じゃあ、あの写真の人とはもう終わってる…ってことか。
なんだ、そうだったんだ。
今は恋人がいないと聞いて、少しだけホッとする僕。
だって、翔くんが誰かと愛し合ったベッドで…って考えたら、やっぱり居た堪れない気持ちにもなるし、相手の人にも申し訳なくなっちゃうもん。