十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
殆ど身動きも取れず、更に会話を交わすこともなく車に揺られる…いや、揺さぶられること約5分…
着いた先は、辺りに数件しかない建物の中の一つで、割と大きめなコンドミニアム。
「ここ…は?」
車から降り、たった数分で固くなってしまった身体を伸ばしながら聞くと、翔くんは「俺の部屋」とだけ言って、さっさとエントランスに向かって歩き始めた。
ってゆうか、ちょっと待って?
いくら何も無いって言ったって、流石に部屋に来るのはどうなの?
もし、彼氏さんと鉢合わせ…、なんてことになったら…
ちょっと想像しただけでも顔が青くなる状況に、僕は翔くんの後を追う足を止めた。
「や、やっぱり僕、辞めとくよ」
うん、その方が良い。
「何で…」
「な、何で…#って…」
僕より、うーんと頭良いんだから、ちょっと考えれば分かるじゃん?
「だ、だって、僕なんかが急にお邪魔したら、その…迷惑じゃん?」
国や人種が違ったとしても、考えることは皆同じだろうから、やっぱり〝元彼〟が突然…って状況は、今彼さんにとってはあまり嬉しくないと思うんだ。
「別に迷惑とかないし」
翔くんは…ね?
でも彼氏さんの立場になったら、やっぱり迷惑だよ。
それに僕だって…