十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
「そう…だね、そうしよっ…か」
潤さんから連絡が来たら、またここに戻って来れば良いわけだし、少しくらい良いか。
「で、どこに行くの?」
この辺りは、殆どと言って良いくらい何も無いんだけど…
「着いて来れば分かるよ」
「う、うん…」
僕は言われるまま、翔くんの車に乗り込んだ…けど、直ぐに降りた。
「何してんの?」
「え、あ、いや、僕は後ろで…」
「何でよ」
だって助手席はちょっと…じゃない?
もし僕が翔くんの恋人の立場だったら、出来れば座って欲しくないと思うもん。
そんなの古いって思われるかもしれないけど、少なくとも僕はそうだから。
僕は翔くんが不審がるのを横目に、後部座席のドアを開け、そこに身を沈めた。
でもさ、座ってみて気付いた。
元々そんなに身体も大きくない僕だけど、そんな僕でも…
めっちゃ狭いじゃん…
膝は前のシートに当たるし、頭だってどうかするとぶつけそうなくらい、後部座席は窮屈で…
やっぱ素直に前に座っとけば良かったかも…
スポーツカーの後部座席を甘くみていた僕は、酷く後悔をしたけど、仕方ないよね。
僕は想像以上に窮屈な空間で、身体を丸くしたまま車に揺られた。
ってゆうか、元々上手くはないと思ってたけど、翔くんの運転…相変わらずなのかも。