十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
もし翔くんに会えることがあったら、アレもこれも聞こうと思ってたのに、いざとなると全然言葉が出て来なくて…
僕は俯いたまま、額から流れる汗を腕で拭った。
すると翔くんが急に立ち上がった。
「マジで暑いよな…」
「う、うん…」
少しは慣れたつもりでも、強過ぎる陽射しに、肌がヒリヒリとする。
「あの…さ…」
「う…ん…」
「ここじゃなんだから、涼しいトコ行かね?」
確かにこんなトコにあと数分もいたら、僕は勿論のこと、翔くんだって真っ黒焦げになってしまう。
でも…
「涼しいトコって…、この辺て何もないでしょ?」
あるのは、ただただ真っ直ぐに伸びる道と、海と砂浜、それから青い空くらいのもんで、他には何もない。
「それに迎えが来ることになってるし…」
一応連絡はくれることになってるし、少しくらい離れたって、多分問題はないと思う。
ただ、それが何時になるのかは、ちょっと分かんないけど…
「そっ…か…。智くんがココで迎えを待つって言うなら、別に俺は止めないけどさ、こんなトコいたら、確実に熱中症でOUTだと思うけど?」
確かに翔くんの言う通りだ。
今の僕は、陽射しを遮る物はおろか、水一滴だって持ってないんだもん。
潤さんが迎えに来る頃には、僕は炭になってるかもしれない。