十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
会いたかった…
ずっと会いたくてどうしようもなくて…
だからかな、抱き着いたまま離れたくなくて…
でもずっと抱き合ったままでいると、ただでさえ気温が高いのに、お互いの体温まで重なって、シャツがジットリするくらいに汗ばんでくる。
「あっちぃ…」
言われて漸く我に返った僕は、慌てて翔くんから離れた。
「ご、ごめん…、いきなりで…」
「ほんとだよ、ったく…」
翔くんがシャツの胸元をパタパタさせながら、フッと息を吐き出す。
怒った…?
だよね…、いきなり抱き着かれたら、誰だってビックリしちゃうし、怒っちゃうことだってあるよね。
ましてや翔くんには…
「ご、ごめんね、久しぶりに顔みたらつい…」
僕は翔くんと距離を取るように、ベンチの上で位置をずらした。
そしたら翔くん、凄く変な顔してて…
やっぱりイヤだったんだ…
僕は咄嗟にそう思った。
でも実際は違ってて…
「何で?」
「え、何で…って、何…が?」
「いや、だってあんまりくっついてるのもどうかな…って…」
だって翔くんには恋人がいる筈だし、もしかしたらどこか離れた所から、今のこの状況を見ているかもしれない。
だとしたらあんまり近くにいない方が、翔くんのため…だよね?