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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第12章 12


今起きていることが夢じゃないって分かったのは、顔を覆った手に触れる体温を感じた時。

ゆっくり顔から手が剥がされて、少しだけ視界が明るくなった気がしたけど、それでもまだ僕は目を開けることが出来なくて…


だって、目を開けた瞬間、全部夢だったら…なんて思ったらさ、怖くて怖くて…

でも…


僕は勇気を振り絞って瞼を持ち上げた。

すると、視界にかかった霞が少しづつ晴れて行って、真っ青に澄み渡った空が僕の視界に飛び込んで来て…


ほら、やっぱり夢だったんじゃん…


あまりの眩しさに視線を逸らした瞬間、僕がこの十年間ずっと見たかった笑顔がそこにあって…

「ど…して…?」

まるっきり寝起きの声で言うと、その人はちょっとだけ肩を竦めた。

「本物…なの?」
「当たり前でしょ?」
「幽霊…じゃない?」


幽霊じゃなかったら幻覚かも…
あんまり会いたいと思い過ぎて、とかさ…


「一応足はあるけど?」
「じゃあ…本物?」
「だから、さっきからそう言ってるでしょ?」

呆れ口調で言うけど、その顔はずっと笑顔で…

思わず飛び起きた僕は、離れてた十年分の隙間を埋めるように、彼の首にしがみつくようにして抱き着いた。


「苦しいって…」って、翔くんが苦情を言うくらい、強く…
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