十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
とは言え、僕の持ってる服には限りもあるし、どれも似たような物ばかりで…
「それで着替えたのか? さっきとそう変わらんが…」
潤さんには言われたけど、仕方ないじゃん?
僕は潤さんみたくオシャレじゃないし。
「まあ良い。行くぞ」
「うん」
僕は車のキーを手に部屋を出る潤さんを追った。
地下駐車場までエレベーターで降りる間、僕は少しだけ胸が踊っているのを感じて…
「ねぇ、どこ行くの?」
僕の声も、少しだけ弾んでいるような気がする。
「適当に走らせとけば、何かあるだろ」
「そうだね」
そうだ、ここは日本じゃないし、どこへ行ったとしても、僕の知らない景色ばっかだろうから、それなりに楽しめるだろう…
なんてさ、思いながら車の窓を全開にし、高速で流れる景色に目を向けていると…
見覚えのある景色を前に、車が急に止まり…
「降りろ」
潤さんが言うから、僕は仕方なくシートベルトを外し、車を降りた。
「何でここなの?」
そこは見飽きた…というか、こっちに来てからほぼ毎日見ている景色の場所で…
「せっかくなんだし、違うとこ行こうよ」
僕が言っても、潤さんは首を縦に振るどころか、横にも振ってはくれない。
「ねぇってば…」
しかも、目すら合わせてくれないんだもん。
一体何なの?