十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
まだ確定…ってわけでもないけど、あの人が翔くんだって思ったら、急に眠気も覚めちゃって…
でも今から準備したところで、お店を出すまでには到底間に合いそうもない。
僕はジェシーにお休みの連絡だけを済ませると、ミニキッチンに立って朝食の準備を始めた。
…って言っても、売れ残りのパンと、残ってた野菜を使ったサラダと、後は目玉焼きを焼いただけの、とても簡単な物なんだけどね。
それでも潤さんは、とても喜んでくれて…
そりゃそうだよね、潤さんときたら、こっちに来てからは殆どといって良い程外食ばっかなんだもん。
しかもさ、こっちはステーキ一枚が僕の顔より大きいんだもん。
流石に「肉はもう飽きた」とも言いたくなるよね。
「で、これからどうするんだ?」
「そうだな…」
突然降って湧いた休日出勤なだけに、正直何をして過ごしたら良いのか、さっぱり分からない。
僕は窓にかかるカーテンを開け放つと、眼下に広がる景色を見下ろした。
「ねぇ、ドライブしたい」
「どこに…」
「どこでも良いけど、ドライブしたいの」
行きたい所も特にないし、したいことだって無いけど、どこまでも続く道を、風と陽射しを全身に感じながら走りたい。
「だめ?」
「まあ、良いだろ…」
「やった。僕着替えて来るね」
僕は後片付けもそこそこに自室へと駆け込むと、いそいそと身支度を整えた。