十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
僕を膝枕しながら、ずっとスマホを触っていた潤さん…
ハッキリとは言わなかったけど、僕はてっきり仕事の関係なんだと思っていた。
でも違っていて…
その答えは、明け方近くになってから分かった。
「起きろ、智」
潤さんに揺り起こされ、僕はまだ眠たさの残る瞼を擦った。
「もう時間?」
「いや、まだ早い」
だよね…
だってアラーム鳴ってないもん。
「じゃあもう少し寝てて良い?」
ずれたブランケットを肩まで引き寄せ、再び瞼を閉じる僕に…
「起きろ」
潤さんの低い声が降って来て、僕のほっぺたがムギューッとつねられた。
「痛いよ…」
「起きろって言ってるのに、起きないからだろ」
そりゃそうだけど、何も抓ることないじゃん…
僕はノロノロと身体を起こすと、欠伸をしながら身体を伸ばした。
良く寝たつもりだけど、まだまだ寝足りない気がする。
なんならもう一回寝たい気もするけど、そこに潤さんの膝はもうない。
多分痺れちゃったんだろうね、備え付けのミニキッチンに立った潤さんは、少しだけへっぴり腰になってて…
ちょっと面白い。
「あ、で、こんな早く何なの?」
何の用もなく、こんな朝早くに潤さんが僕を起こすことは、滅多にない。
「ああ、その事なんだが…」
足の痺れと戦いながら、潤さんがコーヒーを注いだカップを僕に差し出した。