十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第12章 12
ここ数日、色んな事が有り過ぎたのと、こっちに来てからほぼ休みなく動いていたせいか、何だか酷く瞼が重くて…
「今日はもう寝たらどうだ?」
欠伸をしては瞼を擦る僕を見て潤さんが言うけど、僕にはまだやり残した仕事がある。
「明日の準備しないと…」
どうせ売れ残っちゃうんだろうけど、それでめお店にはちゃんと焼き立てのパンを並べたいし、そのためには準備は必要だ。
だいたい、パン一個作るのだって、けっこう時間かかんだよね…
でも…
「一日くらい…良い?」
体力にはけっこう自信あったんだけど、流石にちょっとキツイや…
「良いんじゃないか? 俺だってそういう時はあるし…」
「潤さんも? へー、意外だな…」
「たまには息抜きも必要だからな」
てっきり潤さんは仕事人間だと思ってたけど、そう言えば…
「あ、それがドラァグクイーン…ってこと?」
僕が言うと、潤さんは少しだけ目を泳がせてから、「まぁな…」と言って、少しだけ顔を赤くした。
一度だけ僕も体験した…ってゆうか〝させられた〟けど、確かにあの時間だけは、自分が自分でなくなるような…
現実を忘れられる瞬間でもあった。
だから、潤さんが〝息抜き〟って言ったのも、あながち間違ってはいないのかも。
特に、日々忙しくしてる潤さんにとってはね。