十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第11章 11
荷物を潤さんの車のトランクに積み、助手席に座ると、なんだか急に気が抜けちゃって…
自分ではあんまり気にしてなかったけど、多分凄く気を張ってたんだと思う。
ニノのおかげで、それも半減はしたけどさ…
「疲れたか?」
「うん、ちょっとね」
…って、殆ど寝てたんだけどね。
「ねぇ、これからどうすんの?」
「とりあえず飯食って、それから少し観光っぽいことでもするか」
「うん」
って返事はしたけど、本当はちょっとゆっくりしたかった…ってのが本音。
でも潤さんだって忙しいだろうし、僕ばっかにかまけてらんないよね。
「それにしても、本当に身一つで来たんだな」
「え、ダメだった?」
最悪現地調達で良いかとも思ってたんだけど…
「いや、別にダメとかじゃないけど、智らしいなって思ってな」
「そう?」
〝僕らしい〟って、どうゆう意味だか分かんないけど、きっと悪い意味じゃない…よね?
僕はそんなことをぼんやりと考えながら、ふと流れる車窓に目を向けた。
そこには、青い空に負けないくらいの、真っ青な海と、白い砂浜が広がっていて…
「ねぇ、凄い! 海だよ!」
まるで初めて海を目にしたみたくはしゃぐ僕を見てなのか、潤さんが車を路肩に停めた。
「下りてみる?」
「え、いいの?」
「勿論」
僕は車を降りると、真っ白なビーチに向かって走り出した。