十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第11章 11
冗談だと思いたかった。
でも実際に背中から抱きしめられて、耳たぶをカリッと噛まれた瞬間、これは冗談でもなんでもなく、本気なんだって分かった。
でも…、でもさ…
「約束…したじゃん…」
あの時、僕達が身体を重ねるのは、最初で最後だって、二人で決めたんじゃん?
なのに、「忘れた」ってなに?
意味わかんないよ…
「ずっとしてないんでしょ?」
そりゃそうだけど…
否定もしないけど…
なんなら、ちょっと触られただけで、もう既に身体が反応しかけてるけどさ…
でも…
「やっぱりダメだよ」
「なんで? シタくないの?」
「シタいよ…。でもダメだよ」
僕の欲求不満はとうに限界突破しつつあるし、叶うなら今すぐにでもシタいよ。
それに、以前の僕なら、きっとこの場の状況に流されてたかもしれないけど、僕はもう以前の僕じゃない。
「おやすみ。もう寝るよ」
僕はニノの手を振り解き、身体を丸めて瞼を閉じた。
すると、ニノが僕の頭をそっと撫でてくれて…
「ばーか、冗談だよ」
はあ?
何それ…
「良かったよ、智が少しだけ大人になっててくれて」
当たり前じゃん。
僕、いくつになったと思ってんの?
普通に大人なんだけど?