十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第10章 10
「ねぇ、前もこんなことなかったっけ?」
僕が聞くと、母ちゃんは「そうだった?」なんて言いながら、いそいそとお墓の周りを掃除し始めて…
僕も墓石を洗ってみたりするけど、やっぱり気になる。
「父ちゃんの友達…とかかな?」
「そうかもね。ああ見えて、父ちゃん意外と友達多かったから」
そっか…、母ちゃんが言うならそうなのかもね。
実際その通りだったし。
僕は母ちゃんの言葉を信じて、その時も本当は凄く気になったけど、気にしないフリをした。
「そんなことより、本当に松本さんにお礼しなくて良いの?」
「良いよ、別に…」
「でも、あんた随分お世話になってるんじゃないの?」
「まあ、そうなんだけどさ…」
そりゃ僕だってお礼はするべきだとは思うよ?
でも潤さんはお礼とか求めるような人じゃないし、そもそも僕がお礼した所で、「必要ない」の一言で終わっちゃうだろうから。
それに母ちゃんがお礼なんてしたら、潤さんのことだからきっと気使っちゃうだろうし…
「出世払いで良いんじゃない?」
きっとその方が潤さんも喜ぶだろうし。
「そう? あんたがそう言うなら…」
母ちゃんはどうも納得のいかない顔をしてたけど、僕の一言で渋々潤さんへのお礼を諦めた。
ってゆうかさ母ちゃん、潤さんに会いたいだけなんじゃないの?