十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第10章 10
父ちゃんの墓参りへ行った翌日から、僕の新しい生活が始まった。
いままでより随分と朝は早いし、雅紀さんの店と比べると、覚えることは断然多いし、慣れないせいもあって身体的にけっこうなキツさを感じはしたけど、でも新しいことを覚えるのは新鮮だったし、何より好きなことが出来る喜び
ってのかな…が 感じられた。
麦田社長をはじめとする従業員の人達も、これまで僕が出会ったことの無いような人ばかりで…
面白くて優しい反面、仕事に対しては凄く真剣で、時には厳しかったりもするけど、皆パン屋さんって仕事に誇りを持ってるってゆうか…
そんな素敵な環境で、働きながら修行出来ることが僕には何より幸せだったし、毎日がとても充実していた。
そうしてムギタで過ごすうち、気付けば八年の月日が流れていて…
僕はある決意をもってムギタを辞めた。
凄く迷った。
このままずっとムギタで働くのもアリなのかなって、凄く迷ったけど、もっと広い世界を見てみたいってゆうか…
僕がムギタで学んだ技術を活かす…って言ったら大袈裟なのかもだけどさ…
僕自身が思うパンを作ってみたくなった、ってのが正直なところなのかもしれない。
麦田社長は僕の決意ってゆうのかな…を、快く受け入れてくれて、背中を押してくれた。
そして僕は、また新たな一歩を踏み出したんだ。