• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第10章 10


ムギタで働かせて貰えることが決まった僕は、その週のうちに雅紀さんの店を辞めた…ってゆうより、〝辞めさせられた〟って言った方が正しいのかもしれない。

本当はもうちょっと…って気がしなくもなかったけど、雅紀さんが決めたことだから仕方ないよね。

ってゆうか、僕よりも周りの人達の方が、妙に張り切っちゃってるのは僕の気のせい?

だって母ちゃんは急にホームベーカリー買ってくるし、オーブンだって新しくなったし…

ニノなんて、飯代が浮く…とか、良く分かんないこと言うしさ…

潤さんは潤さんで、ボクが自分のお見せを出す時には、自分がスポンサーになるとか言い出すし…

まだ実際に働いてもないのに、笑っちゃうよね?

でも不思議なことに、皆が僕にどれだけ期待していても、僕がそれをプレッシャーに感じることは、一つもなかった。

寧ろ、僕的にはヤル気が湧いて来る…ってゆうかさ。

おかしな話なんだけどね?

僕は、ムギタへの初出勤の前日、母ちゃんと一緒に父ちゃんの墓参りに行った。

僕が夢に向かって一歩を踏み出したことを、父ちゃんに報告するためだ。

そして、墓石を前にした時、線香の燃え残りと、花が供えられていることに、ちょっとした違和感を感じて首を傾げた。

だって、線香も花も、何日かは経ってるっぽいけど、そこそこ新しい物のように見えたから…
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp