十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
暫く無言で車を走らせ、着いたのは…
「あの…、これ…は一体?」
「見りゃ分かんでしょ、ホテルに決まってるじゃん」
いやいや、それはどんだけ僕が頭悪くたって分かるよ?
僕が聞きたかったのは、そういうことじゃなくて…
「あのまま解除されるの待ってても、帰れるのは深夜過ぎだろうし、だったら泊まった方が良くないかと思って…」
あ、なんだそっか、そういうことね!
って、別にお泊まりは全然良いし、寧ろ…嬉しいけど、でも…さ…
「着替えとか何も持って来てないけど?」
そもそも映画行くだけのつもりだったし、良くあっても一緒にご飯食べてバイバイって、いつものパターンだと思ってたのに、いきなり〝お泊まり〟とか…頭追いつかないよ。
「下着くらいならそこのコンビニに売ってるっしょ」
「そ、それはそうだけど…、翔くん明日仕事なんじゃないの?」
週末ってなら話は別だけど、明日は普通に平日だもん。
いくら有給っていったって、仕事人間の翔くんが二日も会社を休むなんてこと、どう考えたってありっこないと、そう思っていた。
「実は、明日も有給取ってるんだよね」
「そう…なんだ?」
「うん。部屋の整理とか…色々しなくちゃなんなくてさ…。だから泊まり事態は平気だし、それに丁度智くんに話さなきゃいけないこともあったからさ…」
僕に話って…、一体なんだろう。
良い話なら嬉しいけど…
やだな、なんか変な胸騒ぎがする…