十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
来た時と同じ道を走りながら、車窓に目を向ける。
同じ道を走っている筈なのに、全く違った景色に見えるのは、すっかり日も暮れてしまったからなのかもしれない。
あとは…
「なあ、この先通行止めだって…」
「え、どういうこと?」
「事故だって…」
「じゃあ家に帰れない…ってこと?」
「いや、そんなことはないと思うけど…」
路肩に車を停め、カーナビの操作を始める翔くん。
こんな時、〝超〟が付く程方向音痴で、何の役にも立たない自分がちょっとだけ情けなく感じてしまう。
「一応迂回路はあるけど、このルートだとけっこう時間かかるし…」
ブツブツと独り言のように言いながら、カーナビの操作を続ける翔くんと、その真剣な横顔にウットリ見蕩れてしまう僕。
非常事態だって分かってるんだけど、ずっと見てても全然飽きないんだ。
「明日ってバイト?」
「えと、明日は一応休み…だけど?」
「そっか、じゃあさ…」
翔くんがカーナビを操作する手を止め、代わりにスマホを手にする。
そして慣れた手つきで検索を始めると、「決まりだな」ってポツリ呟いてから、ハンドルを握った。
「え、どこ行くの?」
僕の問いかけには答えることなく、車が豪快なUターンをかまし、来た道を引き返す。
更に横道に逸れて行くから、僕は焦ってしまう。