十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第10章 10
本当はさ、相談に乗って貰うのだって迷ったのに、お店まで紹介して貰うってのは、やっぱり甘え過ぎかなって思った。
でも、潤さんも「乗り掛かった船」だなんて言うし、何だか妙に張り切っちゃってるしで、結局僕は潤さんの申し出を、有難く受け入れることにした。
「ってことで、早速だけど行くぞ」
「へ? ど、どこに?」
「決まってるだろ、面接だ」
「は…はあ?」
いや、ちょっと待って?
いくらなんでもいきなり過ぎない?
潤さんの性格は大体分かってたつもりだから、今更驚くことでもないんだけど、それにしたってだよ。
「急に行ったりして、迷惑とかじゃ…」
「気にするな、連絡済みだ」
「う…そ…」
あ、だからさっきスマホポチポチしてたの?
てっきり仕事の関係かと思ってたけど、どうやら違ったらしい。
「ほら、善は急げだ」
「は、はい…」
僕は何かの時のためにと書いてあった履歴書を手に、潤さんに引き摺られるようにして車に乗りこんだ。
でも何度乗っても、潤さんの車だけはどうしても慣れない。
だって左ハンドルの車なんて、そう滅多に乗ることないから、シートベルトするのに手間取っちゃって…
そんな僕に、潤さんはやっぱり優しくて…
「貸して」
運転席に乗り込んだ潤さんが、僕に覆い被さるようにしてシートベルトを締めてくれた。