十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第10章 10
「分かった。じゃあさ、ハッキリ決まったら教えてよ。それまでに、オレの方でも調整しとくからさ」
「うん、ありがとね…ってゆうか、ありがとうございました」
僕が頭を下げると、雅紀さんは大袈裟なくらいに身震いをした。
「智の口からそんな言葉が出るなんて…、ちょっと意外」って言いながら。
ってゆうかさ、僕だってこれでも〝一応〟大人なんだもん、普通にお礼とか言えるし。
「でもなあ、智がね…。そっかそっか…」
雅紀さんと僕とは、そう大して年が離れてるわけでもないけど、雅紀さんはたまに父ちゃんみたいに感じる時がある。
でもそれを言うと、「智だってお爺ちゃんみたいだけど」って言われるから、黙っておくことにする。
「でも結構お金とかかかるんじゃないの?」
「うん。でも、今まで貯めてたのもあるし、何とかなるかな…って」
元々僕はそんなに欲しい物とかも無かったし、使うとこって言ったら…って、考えなきゃいけない程だもん。
雅紀さんとこで働いた分の給料だって、殆ど手付かずの状態だし…
「そっか、なら安心…かな。まあ、もし困ったことがあったら相談してよ。少しくらいなら力になれると思うからさ」
「うん、ありがと」
って、一応は返事をするけど、実際雅紀さんに頼るつもりはない。
僕は僕の力だけで…って思ってるから。