十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第2章 2
意地でも「好き」って言ってくれない翔くん。
ほんと、頑固なんだから…
僕は翔くんの腕を解くと、翔くんと向き合う格好になった。
「キスして?」
「は、はあ? なんだよ、いきなり…」
「言いたくないんでしょ? だから、キスしてくれたら許して上げる」
それなら簡単でしょ?
僕は少しだけ顔を上向けると、そっと瞼を閉じて唇を突き出した。
そしたらさ、翔くんの喉がゴクンて鳴って、僕の唇に噛み付くようなキスが降って来た…ってゆーか、本当に噛まれたんだけど?
「わ、悪ぃ…」
唇が離れて、ゆっくり持ち上げた瞼の先で、翔くんが真っ赤な顔をして頭を掻いている。
もぉ…、翔くんてば相変わらずキスが下手なんだから。
でもね、ピリッと痛む唇から、翔くんの気持ちがめちゃくちゃ伝わってきて、胸の奥がトクンと高鳴った。
「痛い…か?」
「ううん、全然」
「っか…、じゃあそろそろ帰るか、暗くなって来たし…」
「そうだね…」
本音を言えば、もう少しこうしていたいけど、辺りはすっかり薄暗くなって来ていて…
さっきまで楽しんでいた筈のブランコは、風に揺られてキィキィ音を立てていて、ちょっぴり
不気味にさえ感じて…
僕は思わず翔くんの手をキュッと握った。