• テキストサイズ

十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第10章 10


カラッと店のドアを開けると、ちょっぴり懐かしさを感じさせる、ラーメン屋独特の匂いが、僕の鼻とお腹を擽った。

「どうしたの、こんな時間に。いつもより早くない?」

雅紀さんがスープの番をしながら、僕を振り返る。

「うん、ちょっと話があってさ…」
「なになに、良い話?」
「うーん、どっちだろ…」

僕にとっては良い話なのかもしれないけど、雅紀さんにとっては、正直どっちなのかは分からない。

「あ、ちょっと待って?」
「忙しかったら後でも…」
「違う違う。もし悪い話だったらさ、それなりに覚悟しとかなきゃって思ってさ」

そう言って雅紀さんは、胸に両手を宛て、深呼吸を何度か繰り返した。


…ってゆうか、雅紀さんてやっぱり面白い人だ。

こんな人の傍にいたら、ニノもきっと楽しいだろうな。


「OK、話聞こうか」
「うん…」

雅紀さんが厨房から出て、一番奥のカウンター席に座った。

頭に巻いていたタオルを取ると、思ったより長い前髪がサラッと降りて来て、一瞬ドキッとしてしまう。


勿論、雅紀さんに対して恋愛感情があるわけでもないし、雅紀さんとどうこうなりたいわけでもないけどね?


「実は…さ、ずっと考えてたことがあって…さ」
「うんうん…」
「僕ね…、あのね…」

僕は雅紀さんに、自分のした決断を、ゆっくり、一つ一つ言葉を選びながら話した。
/ 279ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp