十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
結局、シーツを通り越して染み込んでいた布団は諦め、僕達は毛布を下に敷き、一つの布団に包まった。
ニノ二背中から抱きしめられると、少しだけ胸がドキッとした。
今まで何度も同じ状況になったことはあるのに、こんな感覚になったのは、初めてかもしれない。
何も変わらない…そう思ってたけど、セックスする前とした後じゃ、やっぱり何かが違う気がする。
そう感じてるのは、もしかしたら僕だけで、ニノは何とも思ってないのかもしれないけど、正直僕は凄く居心地の悪さを感じていた。
「ねぇ、智?」
「…ん?」
ニノの熱い息が僕の首筋にかかって、ちょっぴり擽ったい。
「ちゃんと忘れられた?」
「何…が…?」
「誤魔化すなよ…」
「別に誤魔化してなんかないよ」
ちゃんと言ってくれないから、何の話か本気で分かんないんだもん。
「だからさ、櫻井先輩と潤さんのこと、ちゃんと忘れられた?」
「え…?」
まさかこのタイミングで聞かれると思っていなかった僕は、少しだけ答えに困ってしまう。
「さっきさ、俺が起こした時、智何て言ったか覚えてる?」
「覚えてないよ、そんなの…」
寝てる間に、しかも無意識に口走った言葉なんて、覚えてるわけないじゃん。