十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
「なあ、智…」
「ん…?」
「あの…さ…」
ニノが僕の耳元で言いかけるけど、僕はそれどころじゃなくて…
ぷかぷかしてるのは気持ち良いけど、僕は熱いお風呂が苦手だし、何より長風呂はもっと苦手で…
このままニノの話を聞いてたら、僕は確実に逆上せちゃう。
「あ、あのさ、ニノ…。僕、先上がるね」
「あ、ああ、うん」
僕は勢い良く湯船から出ると、洗濯機の上に無造作に置いてあったバスタオルで身体を拭いた。
水道から直接グラスに汲んだ水を、一気に喉に流し込むと、少しだけ身体の火照りが取れたような気がした。
「あ、そう言えば下着…」
急なことだったし、替えの下着なんて持ってないし、どうしよう…
流石にアレでベトベトのパンツは…、やっぱり穿けないような…
身体を拭いたバスタオルを腰に巻いて、脱ぎ散らかした服を一つずつ拾い、一纏めに集めた。
ってゆうか、パンツだけじゃなくて、シャツもズボンも、全部汚れちゃってんじゃん…
これじゃ、ちょっと着れない…かも。
「参ったな…」
「何が参ったって?」
声に驚いて振り向くと、バスタオルを腰に巻いたニノが立っていて…
さっきまでこの身体に抱かれてたんだなって思うと、ちょっとだけ胸がドキッとした。