十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
「…きろ」
どこか遠くの方で呼ばれてるきがして、僕はゆっくり瞼を持ち上げる
あ…れ…?
何…で?
「風呂、湧いたから」
「…うん…」
「ほら、起きろよ」
無理だよ。
腰痛いし、自分じゃないみたいに、身体重たいし…
起きらんないよ…
「抱っこ…」
僕は両手を伸ばして強請った。
でも僕の手を掴んでくれる手は無くて…
「無理。抱っこなんて出来ないし」
「やだ、抱っこしてくれないなら、お風呂入らないから…」
お風呂入るくらいなら、もっと眠っていたい。
「我儘言うなって」
我儘なんかじゃないもん。
だっていつもしてくれるじゃん。
「お願い、……くん」
その時僕が誰の名前を呼んだのか…、正直全く記憶にない。
でも僕の手を掴んだのは、僕が求めている手じゃないことだけは、鮮明すぎるくらいハッキリと分かった。
「ほら、行くよ?」
強引に身体を起こされ、引き摺られるようにしてバスルームまで連れていかれた僕は、頭から熱いシャワーをかけられ、漸く意識を現実世界へと引き戻し
た。
「熱いよ、ニノ…」
僕が熱いシャワー苦手だってこと、幼馴染のニノなら知ってる筈なのに…
「文句言うなって。ほら、ケツ出せ」
「え…?」
まさか、もう一回…とか?
え、無理なんだけど…