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十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】

第2章 2


でも、あの時の翔くん、カッコよかったな…


ちょっとだけ王子様みたく見えちゃった翔くんを思い出し、「へへへっ」と笑った僕の額に、翔くんの強烈なデコピンが炸裂する。

「いったぁ…」

目の前に星が散り、自然と涙目になる僕の視界、そして…

「え、あの、翔…くん?」

背中からギューッと抱きしめられて、何度もされたことあるのにドキマギしてしまう僕。

「気持ち悪い笑い方すんな、っての…」
「だ、だって…」


翔くんのこと考えただけで僕、自然と顔の筋肉が緩んじゃうんだもん。

仕方ないじゃん、それくらい翔くんのこと好きなんだから。


「ねぇ、翔くん?」
「なに」
「僕のこと好き?」
「は、はあ? 急になに…」

翔くんが喋る度、僕の首筋に息がかかって、ちょだとだけ擽ったい。

「ねぇ、答えて?」

ついでに、風に揺らされる髪の先から、シャンプー…なのかな、少しだけ甘い匂いが漂って来て、僕の鼻先まで擽る。

「当たり前のこと聞くなって。大体、俺が何とも思ってない奴相手に、こんなことすると思う?」
「それは…そうだけどさ、聞きたいんだもん」

分かってるけどさ、ちゃんと言葉で聞きたいのが、恋する〝乙男心〟ってやつじゃない?

いつもじゃなくて良いから、たまには…ね。
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