十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
ねぇ、これってもしかして、〝壁ドン〟ってやつ?
なんて感動してる間もなく、強引に重ねられた唇の隙間から、ニノの尖った舌が僕の口の中に入って来て…
「んっ…、んんっ…」
息苦しさに藻掻いていると、スッとニノが僕から離れ…
ゆっくり靴を脱ぐ間も与えない勢いで部屋に引き込まれた。
「脱いで?」
「え、あ、あの…、先にシャワーとか…」
流石にこのままってのはちょっと…
「別に良いよ」
「で、でも…」
だって翔くんはいつも、ちゃんとシャワーを浴びてからじゃないと嫌がったし、それに潤さんだって…
「ねぇ…」
「え…?」
顔を上げた先に、ニノのちょっぴり呆れ顔があって…
「忘れるんじゃなかったの?」
言われて僕はハッとした。
考えるつもりなんて無かったし、ニノを翔くんや潤さんと比べるつもりだって、全く無かった。
なのに僕は…
「ごめ…ん…」
謝った僕の頭に、ニノの手が乗せられ、そっと僕の前髪を掻き上げた。
「別に怒ってないから、謝んなって…」
「でも…」
言いかけた僕の唇を、ニノの唇が塞ぐ。
でもさっきみたいな、息も出来ないようなキスではなく、軽く触れるだけのキスで…
「だけど、こっから先は許さねぇから…」
唇が離れた瞬間、ニノの冷たい視線と言葉が、僕の胸にグサッと突き刺さった。