十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
「それ、マジで言ってんの?」
「うん」
冗談でこんなこと言えるわけないってことくらい、ニノだって分かってるでしょ?
「僕は本気だよ?」
「俺、加減出来ないし、本気で滅茶苦茶にしちゃうかもしんないけど、泣いても知らないからね…」
「うん」
本当はさ、ちょっぴり怖いけど、滅茶苦茶にされて翔くんを忘れられるなら、その方がよっぽど良い。
「でも約束して欲しい」
「何を?」
「僕がニノの想いに応える代わりに、ニノも雅紀さんとちゃんと向き合って欲しい」
心の奥では想ってるのに、一歩踏み出せずにいるのは、僕への想いがあるせいだから。
だから…
「分かったよ、約束する。でも智も約束して欲しい」
「僕…?」
「櫻井先輩のことは、もう忘れるって」
僕の手を握ったニノの手に、グッと力が入る。
「見たくないんだよ、智の泣き顔をさ…。だから…」
これから僕の事散々泣かそうとしてるくせに、泣き顔見たくない、なんてさ…、変なニノ。
僕はちょっとだけ笑ってしまいそうになったけど、真剣な顔で頷いて見せた。
「俺の部屋で良い?」
「えっ…?」
「いや、最初で最後なんでしょ? だったら、もうちょっと…って思ったけど、俺、今金欠だし…」
真っ赤な顔して真剣に言うから、今度こそ僕は堪えきれずに笑ってしまった。