十年・愛 〜あの場所で、もう一度君と…〜【気象系BL】
第9章 9
酷い奴だ、って。
自分が過去を忘れられないからって、ニノを利用するなんて、最低なことだって思われるかもしれない。
きっと軽蔑だってされる。
こんな僕だって、一応最低限の常識ってのは持ってるし、頭ではいけないことだってことも、ちゃんと分かってる。
でも、どうしようもないんだ。
このままじゃ、僕はいつまで経っても過去に縛られるばっかで、もう誰かのモノになってしまった翔くんを、永遠に追いかけ続けることになる。
前はそれで良かったし、潤さんはそれでも良いと言ってくれた。
結果、潤さんを苦しめ、傷付けた。
もうあんな思いは、誰にもさせたくないし、僕だってしたくない。
そのためには…
僕が前に進むためには、こうするのが一番なんだ。
勿論、そうすることで、また誰かを傷付けることになるってことも分かってる。
でもニノなら…
「ニノはさ、本当は雅紀さんのことが好きなんでしょ? でも、僕への想いも捨てられないから、だから雅紀さんの気持ちを受け入れられないんだよね?」
僕と同じ思いを抱えているニノなら…
「お前、何言って…」
「だからさ、一回だけ…。それで終わりにしよ?」
ニノは僕への想いを捨てて、僕は翔くんへの想いを捨てる。
それで全部終わりにしよう…